ビットコイン(BTC)を法人が購入する方法

投稿日:2026年04月23日
ビットコイン(BTC)を法人が購入する方法
目次

本記事は、当社が実際にBTCを法人として取得・保有するなかで得た知見をもとに執筆しています。投資助言を目的とするものではありません。

「BTCを法人で買う」は、想像より複雑だった

当社コンヴァノがビットコイン(BTC)を財務戦略の中核に据えると決断したのは2025年7月のことです。FASTNAILブランドを中心とするネイルサービスチェーンを運営する私たちが、なぜBTCに踏み出したのか。そのきっかけは「円安リスク」でした。

ネイルサロン事業では多くの材料を海外から輸入しています。円安が進むたびに仕入れコストが跳ね上がり、利益を直撃する、この構造的なリスクに対して「経営陣として何かしなければ」という強い危機感があったのです。円の価値は過去数年で下落傾向にあると指摘されており、このダメージを座視し続けることはできませんでした。

そうして2025年7月22日・24日と立て続けに計14億円相当のBTCを購入。その後も取得を加速させ、2027年3月末までに21,000BTCの保有を目指す「コンヴァノ21,000ビットコイン財務補完計画」を策定するに至っています。最新の保有数は当社BTC事業ページをご確認ください。

この記事では、私たちが実際に歩んだプロセスをもとに「法人がBTCを購入するための具体的なステップ」を解説します。これからBTCの法人購入を検討している経営者・CFO・財務担当者の方に向けて、実体験からの気づきを率直にお伝えします。

STEP 1|社内合意と投資方針の明文化

BTCを法人で購入する前に、まず社内で「なぜ買うのか」を言語化することが不可欠です。
当社では、以下の問いに対する答えを取締役会で議論し、書面として残しました。

  • 目的:インフレヘッジ(円安リスクの緩和)か、準備資産としての位置づけか
  • 投資上限:総資産に対して何%まで保有を許容するか
  • 保有期間:長期ホールドを前提とするか、機動的なディーリングも行うか
  • 意思決定ルール:購入・売却の判断を誰がどのプロセスで行うか

当社の場合、「円で稼ぎ、円の購買力を守る」という財務防衛の発想がベースにあります。BTCを単なる投機資産ではなく、インフレ耐性と外貨準備機能を持つ「財務リザーブ」として位置づけたことが、社内合意形成をスムーズにしました。
この工程を省くと、後々の社内説明・監査対応・IR開示で必ず困ります。方針の明文化は購入前に済ませることが最初の教訓です。

STEP 2|取引所の選定と法人口座の開設

個人向けと法人向けでは、対応している取引所が異なります。国内で法人口座に対応している主な取引所は以下の通りです。

取引所 特徴
コインチェック(法人) UIがシンプル。法人審査の対応実績が多い
bitFlyer for
Business
大口取引に強い。API連携も充実
SBI VC トレード
(法人)
SBIグループの信頼性。金融機関との相性が良い
GMOコイン(法人) スプレッドが比較的狭い

法人口座の開設には、一般的に以下の書類が必要です。

  • 登記簿謄本(発行から3ヶ月以内)
  • 定款のコピー
  • 代表者・実質的支配者の本人確認書類
  • 法人の決算書(直近1〜2期分)
  • 資金の出所に関する説明書類

審査期間は取引所によって異なりますが、最短で1〜2週間、長い場合は1〜2ヶ月かかることもあります。資金調達のタイミングと口座開設のスケジュールを逆算して早めに動くことをおすすめします。

なお、当社の経験では、審査担当者から「BTCをどのような目的で保有するか」を追加ヒアリングされました。STEP 1で方針書を作っておいたことが、ここで活きました。また、2025年6月の株主総会で定款目的に「Web3・デジタルアセット事業」を追加していたことも、審査上の信頼性を高める要因になったと感じています。

STEP 3|「現物取引」か「OTC」か「ディーリング」か購入方法の選択

法人がまとまった量のBTCを購入する場合、主に3つの方法があります。

① 取引所での現物取引

一般的な購入方法です。取引所の板(オーダーブック)で市場価格に従って購入します。少額〜中程度の購入には適していますが、数千万円〜数億円規模になると「スリッページ」が発生し、想定より高い価格で購入してしまうリスクがあります。

② OTC(店頭取引)

大口購入に向いている方法です。取引所を通さず、相対で価格を決めて購入します。スリッページが発生しないため、大量購入時に価格を安定させやすいのが特徴です。億単位の購入を検討している場合は、OTC取引が選択肢の1つとして一般的に検討されます。

③ ディーリング(機動的な売買)

当社でも参考にしているアプローチの1つとして、「相場の状況に応じて売買を行う運用手法」があります。一般的には、「相場が相対的に高い局面では機動的に一部売却し、相対的に低い局面では計画的に取得する」といった運用が行われるケースがあり、当社においても参考にしています。このような手法は、価格変動リスクやタイミングの判断が伴うため慎重な検討が必要であり、期待どおりの成果が得られるとは限りませんが、保有資産の管理手法の1つとして検討されることがあります。
実例として、一定の売買差益を確保した実績があります(詳細は当社開示資料をご参照ください)。なお、過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

STEP 4|取引所保管かカストディか保管方法の検討

購入したBTCをどこに保管するか。これは見落とされがちですが、非常に重要な論点です。

取引所のホットウォレット保管

手軽ですが、取引所がハッキングされた場合のリスクがあります。また、取引所が破綻した場合に資産が返還されない可能性もあります(過去のFTX破綻などが事例としてあげられます)。

コールドウォレット(ハードウェアウォレット)保管

インターネットから切り離した端末でBTCを保管する方法です。セキュリティは高いですが、秘密鍵の管理が極めて重要で、紛失するとBTCへのアクセスが永久に失われます。

カストディサービスの利用

機関投資家向けに、BTC保管を専門業者に委託するサービスです。国内ではSBI系列、海外ではCoinbase Custodyなどが代表的です。法人で大量保有する場合は、このカストディサービスの活用が一般的に検討されます。
当社は将来的に21,000BTCという大規模な保有を見据え、カストディサービスと自社管理を組み合わせた分散保管体制を整備しています。

STEP 5|会計・税務処理の整備

法人がBTCを保有する場合、会計・税務上の処理が個人とは異なります。

会計処理

2024年の企業会計基準委員会の改正により、一定条件を満たす暗号資産については時価評価が求められるようになりました。これにより、BTCの価格変動が損益計算書に直接影響します。当社においても、保有BTCの評価損益が財務諸表上に反映されます。

税務

法人がBTCを売却した際の利益は、法人税の課税対象(益金算入)となります。また、期末時点での評価益も原則として課税対象です。

税理士・公認会計士への事前相談は必須です。特に「どのタイミングで益金が認識されるか」「ディーリング戦略における税務上の扱い」は実務上の論点が多く、専門家との連携が欠かせません。

まとめ

  1. 社内合意と投資方針の明文化(「なぜ買うのか」を書面で残す)
  2. 取引所の選定と法人口座の開設(審査期間を逆算して早めに動く)
  3. 購入方法の選択(大口ならOTC、戦略的にはディーリングも検討)
  4. 保管方法の検討(大量保有ならカストディサービスを推奨)
  5. 会計・税務処理の整備(税理士・会計士との連携必須)

コンヴァノは「アジアを代表するビットコイン・トレジャリー企業」を目指すとともに、日本国内における暗号資産の価値と可能性を積極的に広める役割を担いたいと考えています。法人としてBTCを財務戦略に組み込むことは、適切な準備さえすれば十分に実行可能です。この記事がその第一歩の助けになれば幸いです。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の取得を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、短期間で大きく値下がりする可能性があります。
また、各国の規制状況や市場環境の変化により価値が影響を受ける場合があるため、投資にあたってはご自身の判断と責任において行ってください。

この記事の監修者

東 大陽
株式会社コンヴァノ 取締役|ビットコイン保有戦略室 責任者 株式会社Convano Consulting 代表取締役 虎ノ門キャピタル株式会社 代表取締役
東 大陽Motokiyo Azuma

「事業で稼ぎ、構造で守る」二刀流企業設計者|BTC保有戦略責任者/新規事業×財務戦略のクロスオーバー実行者。
元エンジニア×事業開発×財務×ガバナンスのクロスオーバー領域を専門とし、「円で稼ぎ、円を守る」企業設計を追求しています。

2008年10月
(株)NSD 入社
2014年8月
(株)コスパクリエーション 入社
2018年5月
(株)ビジョン・コンサルティング 入社
2020年12月
(株)メディカルフロンティア 入社
2024年3月
当社執行役員 経営戦略本部管掌
2025年5月
(株)Convano consulting 代表取締役(現任)
2025年6月
当社取締役(現任)
2025年6月
M&Aテクノマージコンサルティング(株) (現 虎ノ門キャピタル(株)) 代表取締役(現任)

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